成田市御案内人活動報告

2022年5月28日(土)
成田伝統芸能まつり

例年9月に開催される成田伝統芸能まつりですが、今年は5月にも二日間にわたり開催されました。テーマは"「歌舞伎のまちナリタ」で出会う日本の伝統"。歌舞伎公演を中心としたイベントです。こちらのイベント内容の一部をご紹介いたします。

中村児太郎トークショー

スポーツについて

児太郎さん:高校までラグビーをやっていました。女方を演じるにあたりなで肩にするため筋肉を落とさなくてはいけなかったので、それまでやっていた筋トレを全てやめました。父(中村福助)は野球好きで大の阪神ファン。今年は開幕の成績が悪く、阪神が負けると父の機嫌も悪くなるので、先日までやっていた舞台の公演中は関係者みんなで阪神の勝利を願っていました(笑)。    

    

舞台「祇園祭礼信仰記 金閣寺」

七代目中村歌右衛門襲名を目前に病に倒れ、過酷なリハビリを経て復帰された中村福助さん。歌舞伎座の公演「祇園祭礼信仰記 金閣寺」の慶寿院尼役で復帰を果たしました。児太郎さんも女方の大役・雪姫の役で出演されています。

児太郎さん:歌舞伎の三姫のひとつでもある雪姫は、演じるのがとても難しい役だと思うのですが、なんと配役が発表される2時間前に自分がやると知り驚きました。
舞台上で後ろ手に縛られ、手も足も動かない中たった一人で演技をしなくてはならない場面があるのですが、お稽古をしていただいた玉三郎さんには「縛られている時の方がうまく演技ができている」とおっしゃっていただきました。
普段から女方を演じる時には言葉を使うときも手や身体を動かしてしまうのですが、それがかえって女方の役の醍醐味をなくしてしまっていたのかもしれないと気づかされました。



舞台「阿古屋」

児太郎さん:45年間玉三郎さんが一人で守られてきた三味線と琴と胡弓を舞台上で弾く「阿古屋」という女方の大役があるのですが、平成27年の時にその舞台を拝見させていただき、それがとても素晴らしく感動しました。ちょうどあと二日で千穐楽というタイミングで「僕もやりたいです」とお話したところ、玉三郎さんに「では三年でやってみろ」と言われてしまいまして...とんでもないことを言ってしまったと思いました(笑)。
それからは顔を合わせる度に「お稽古してるか?」と聞かれるので、これはいよいよやらなくてはという気持ちになり、中村梅子さんと手を組み三年をかけて習得することができました。
本当に大変でしたが、玉三郎さんが後継者を探していらしたということや、お稽古を始めた時はまだ21歳でしたので、今ほど忙しくなくお稽古をする時間が作れたのが良かったと思います。



「いぶき、特別公演」

児太郎さん:6月1日から全国9カ所で「いぶき、特別公演」が開催されます。同級生の中村隼人さんと二人だけで勤める公演です。実は隼人さんとは10代から20代前半まではものすごく仲が悪くて。というのも自分は古典を勉強させていただくことが多かったのですが、隼人さんは「ワンピース」や「ナルト」などといった人気漫画を原作とした新作歌舞伎にチャレンジすることがあり、お互いが良さを認められない時期がありました。
しかし24歳の時、父の復帰の舞台となった「金閣寺」の次の演目である「鬼揃紅葉狩」で隼人さんと5年ぶりくらいで共演したのですが、「金閣寺」で雪姫を演じた後、彼がボロボロ泣きながら「ものすごく感動した、良かったよ」と声をけかてくれて。彼に認めてもらったことで自分も彼を認められるようになりました。そこからは毎日電話をしたり、会うたびにツーショットを撮るほどの仲に。

今回の舞台は変化に富んだ三作品が楽しめる公演となっていますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

    

歌舞伎ワークショップ

ワークショップでは、引き続き児太郎さんに女方を演じる際の歩き方や姿勢の作り、台詞回しについてお話しいただきました。



立廻り体験

続いて成田屋一門から市川新八さん、市川福五郎さんをお迎えして立廻りを見せていただきました。
立廻りはいくつかの決まった型の組み合わせでできています。今回は小泉市長と観客の方に舞台に上がっていただき、実際に立廻りを体験していただきました。



越後獅子(えちごじし)

最後に、新八さんに『越後獅子』を踊っていただきました。